統合失調症の症状/鬼の形相になってしまう元奥様/暴言&暴言そして・・・
スポンサーリンク
病棟に入院している統合失調症の患者の喜代美さん(仮名)は60代と思えないほど色白で美人の元奥様です。
今日はその喜代美さんのお話しをします。
こんにちは。精神科ナースここあんです(*^^*)
喜代美さんの発症履歴
喜代美さんは今でも化粧しなくても美人だなーと思うので若いころはどんなに美しかったんだろうかと思います。
紹介で結婚したんでしょうか、最初に会ったとき、旦那になる人はその美しさに「はっ」としたんだろうなぁなんて勝手に想像したほどです。
しかし、彼女の発症は19歳の時です。
以前にもお話しましたが、この病気は思春期に発症しやすいと言われています。
発症のメカニズムはまだ解明されてはいませんが、子供から大人になる途中で何らかの過剰ストレスにより、脳の一部が傷ついてしまうとされています。
経歴を見ると、養女とありました。育てられている間に何があったかはわかりませんが、短大まで出してもらっています。
ということはそんなに粗末な扱いをされたとも思えませんが何か親子の間であったんだろうなと思われます。
人づきあいが苦手な性格とあるので、人に甘えたり、相談したりとか出来なかったのかもしれません。
自分の中で悩みを抱えこむことでそれが蓄積し脳の中にパニックを起こしてしまいます。
そんな病気を抱えながらも、通院したり、薬を飲んだりして話を聴いてもらうことで快方に向かうこともあります。
彼女もしばらくは落ち着いていたようです。
24歳ごろ銀行員の男性と結婚して、その後旦那の赴任先であるアメリカで2年ほど生活したとあります。
しかし人づきあいの苦手な彼女のアメリカでの生活はどうだったのでしょうか?
その記述は履歴にはなかったのでわかりませんが、きっと数知れず心理的な苦労があったのではないかと思います。
その後、帰国して娘が生まれました。
子育て中にもいろいろなことが起こったと思われます。
思考障害、多弁傾向、精神運動興奮・・・と症状が現れます。
ダイエットに熱心になり、次第に家族にキツい態度を取るようになり、物を投げたりし、異常な行動がエスカレートしていきます。
そして、離婚、娘は最初父に引き取られる予定でしたが、喜代美さんの親が育てるということでおばあちゃんに育てられたようです。
通院、入院、通院、入院を繰り返し、今に至っています。
入院中の喜代美さんの様子
笑うと本当にいい笑顔になるのに、一旦自分の思いが通らなくなったり、他患が自分の悪口を言っていると思ったりすると、鬼のごとくすごい形相になり、奇声をあげて怒り出します。
その声は病棟中に響き渡るほど(*_*;
スポンサーリンク
他患者さんからもその声に対して苦情が出ます。
「看護師さん、喜代美さん、静かにさせてくれない?」「あの声を聞くと落ち着かない」「頭がおかしくなる」と。
その気持ちは痛いほどわかります。皆さんも精神的な病で入院しているんですからね。
喜代美さんの奇声に頭にきた同室患者のR子さんも「喜代美、うるせー。黙れ!」と怒り、「なに~!R子こそ、黙れ!!」といつもの喧嘩が始まります。
何回も足を運んでは喧嘩に止めに入っていましたが、止められないときはもう静観するしかありません💦
しかしこの頃、R子さんが精神的に大人になって、喜代美さんの挑発に乗らならなくなりました。ほっ(^^;
キーキーと興奮状態が波のように襲ってくるので他の患者さんを休ませてあげたいのですがどこの病棟も引き受けてくれません。
ところで彼女の意外な一面として記憶力が抜群で今日の食事のメニューを全て覚えてしまうのです。
それを誉めると、彼女のプレッシャーにもなっているようで、「みんなが私に今日のメニューを聞いてくる!」と被害的妄想になります。
「だったら覚えなくていいよ」とも言うのですが、今日も廊下に貼ってあるメニューを見に行き、「ごはん、チンジャオロース、エビのサラダ、みそ汁・・・」と唱えます。
何とかして、落ち着いた喜代美さんを取り戻したいのですが、現実はなかなか難しいです。
統合失調症の症状は各自それぞれ異なります。
年間を通して、毎日のように興奮し大声を出している患者さんはこの方だけです。
若い頃は今よりもっと美しかったであろう喜代美さんを鬼の形相にしてしまう統合失調症。
看護師に対しても「おい、〇〇!(看護師の名)あんた、私を見て笑っただろう!?ふざけるんじゃねぇ!」と言ってしまうのです。
彼女のことが苦手な看護師もいます。
でも、私は魂に語りかけているので、頭にくることはありません。
本当の喜代美さんの姿ではない。病気が言わせているんだと思っているからです。
最後に…
鬼の形相で暴言吐かれても魂に語り掛けます。
ここあん「今日もいい天気だよ。」
喜代美「外は寒い?」
ここあん「寒いよ。真冬だからね。」
喜代美「そうだね。ご苦労さま」
そんな何気ない会話も交わしながら優しい喜代美さんを捜しています。
今日も患者さんのために・・・
また「ここあんの部屋」に訪れていただけたら嬉しいです(^_-)-☆
★この記事に興味を持っていただけたらクリックお願いします!
人気ブログランキング
スポンサーリンク