精神科病棟日記/外科医になりたかったうつ病患者さん
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精神科ナース4年目の看護日記より
患者さんの過去からいろんな人生模様を垣間みる
夜勤での出来事です。
80代患者の中野さんは品のあるおばあさんです。
頭もしっかりしていて何で精神科に入院しているのか疑問でした。
うつ病と言われていましたが、シャンとしていろところもあり
ここの病院じゃなくても良さそうなのになーと思っていました。
娘さんは毎日母親の世話をしに来ています。それも疑問でした。
毎日来られるのなら家でも面倒を見られそうなのに…
しかし、最近その娘さんと間に何かトラブルがあったようで中野さんは不穏に陥り、拒食、拒薬状態に。
そして「死にたい」と口走るようになりました。
そんなことを申し送りで聞いていたので自殺企図に注意するようにしなければと
相棒ナースとも話していました。
消灯時間後は1時間ごとに巡回をします。
午前3時 寝てる、4時 寝てる、よし。
しかし5時 ベッドにいない!トイレ、他の患者の部屋にもいない!
どこ?まさか何処かで企図を疑い病棟を捜す。いない。焦る💦
探し回って「あっ、いた」
本来ならいるはずのない保護室の前の真っ暗な廊下にお人形のように足を前に揃えて座っていた。
その姿にギクっとした。
でも、良かった。生きてる。良かった…
私「中野さんどうしたの?」
中野さん「立てなくなっちゃったの…あの私通帳も印鑑も現金もないの。困っちゃう」
私「大丈夫、娘さんが持っていますよ」
中野さん「娘ね、死んじゃったの」
私「昨日来てましたよ。生きてますよ」
中野さん「今瀕死の状態で手のつくしようがないの」
妄想の世界にいるようだ。
中野さんあんなにしっかりしていたのに急に変わってしまった。
実は中野さんとても頭良くて、若いころ外科医になりたかったとか。
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でもお金に余裕のない家庭であったため医大に入れず、仕方なく病院の事務をしていたらしい。
その病院に頼んで手術の見学をさせてもらうほど好きだったそう。
お金がなかったために人生が変わってしまった中野さん。
好きな仕事にもつけず。
そして今精神科にいる。
お金のあるうちに生まれていれば外科医として活躍していたであろう中野さん。
後で事情を伺うと娘さんは母親に支配されて毎日面倒をみに来ているらしい。
母親に厳しく育てられなのであろう。
今はうつ病となってしまっているが本当は外科医になりたかったというところからも
強い母親なのでしょう。
なりたかった医者になれなく、主婦となったがその矛先が娘さんだったのかもしれない。
人生思うようにいかない。
なりたかった職業に就けた人は幸せだ。
たった一度しかない今の人生、後悔のないように生きてほしいが難しい世の中でもある…
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